佐野まいけるのイカ解剖ログ

趣味で解剖したイカの記録を載せていきます。

ホタルイカモドキ_メス?_成熟度0_EC-210215-003

基本情報

標準和名:ホタルイカモドキ
学名:Enoploteuthis (Paraenoploteuthis) chunii
雌雄:メス?
成熟度:0
体重:13.7g
外套背長:7.4cm

ID:EC-210215-003
解剖日:2021/2/15
入手日:2021/2/14
入手方法:採取(頂き物)
産地:富山湾
状態:

解剖雑記

同日5匹目、ホタルイカモドキは3匹目となる個体の解剖で、疲労&ホタルイカモドキのオスを見られるかもしれないという期待で目が血走ってきた。

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ホタルイカモドキの交接腕(オスにだけある腕)は右第Ⅳ腕なのだが、パッと見た感じこいつの第Ⅳ腕は左より右が短い。交接腕は対となる反対の腕より短いことが多い。つまり??

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こいつはもしかして交接腕なのではないか。ものすごい期待で腰痛を忘れる。

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肉眼ではよく見えないので、ズームしたカメラの液晶で観察する。うーん、なんか先が丸いな・・・。いや、先が丸くなっている交接腕はあるにはあるのだが、新編 世界イカ類図鑑に掲載の図を見たところ、ホタルイカモドキの交接腕は通常腕と同様に先が尖っているのだ。

図鑑によると、交接腕は「矩形と三角形の膜片がずれて配置する」とも書いてある。この腕は、先端に近いところにピロピロがあるが、これは遊泳膜だし。なんかおかしい。

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腕をひっくり返してみたら、あらー。これは欠損ですね。ちぎれただけだ。がっかり。でもこれだけでは交接腕がちぎれたのか、通常腕がちぎれたのかわからない。まだ希望はある。

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OPEN。うぬ。分かりませんね。若すぎるが、多分メス。

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内臓を一部取り出してみたが、何となく黄色っぽく卵の風味を感じる。左側にある黄緑色の二つの丸い物体は、おそらくエラ心臓だ。ホタルイカの解剖写真で見たことがある。

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結局雌雄はわからなかったが、美しいことに変わりはない。開眼目であることがよく分かる瞳。水晶体が推したくなるようなボタンのようにぽつりと出っ張っている。開眼目というのは、眼を覆う薄い膜がないイカのことだ。スルメイカや何かがそうだね。

対して閉眼目というのもあり、こちらはアオリイカやヤリイカの仲間。これはこれで可愛らしい。

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最後のカラストンビ採取で失敗した。力加減を間違えて、上顎板をパキっと折ってしまった。下顎板は無事なのだから取っておけばよかったのだが、脳が機能しておらず捨ててしまったのが悔やまれる。

反省点

・疲れのため観察が疎か
・腰がやばい

同じ日に5匹もイカを解剖するものではない。嬉しいけれど精神も体力も消耗するのだ。中腰で撮影と解剖を行い続けた結果、ある瞬間に尻から腰にかけてスゥと冷たいものが走り焦った。

何度かぎっくり腰をやっているが、完全にこれは予兆だ。地雷を踏んだ人並みにゆっくりと動いて椅子に座り、難を逃れた。この先解剖するイカたちのためにも、腰を壊すわけにはいかない。今後はサポータを付けて解剖しよう。